Impact Evaluation / Program Evaluation
Projects
このページでは、本研究室で取り組んでいる主なプロジェクトについて紹介します。
下記のテーマ以外にも自分が因果関係を知りたいと思うテーマがあれば、卒論・修論で挑戦可能です。
例えば、「カジノがとても好きで何度も行った。最近話題のカジノ関連の政策に役立つ研究をしたい!カジノを造ることの経済効果を知りたい!」という場合は、それをテーマに研究することができます。ただし、データを使った分析は必ず行うものとしております。
道路建設は途上国において最も支出割合が高い公共政策の一つであり、開発支援事業としても重要な位置付けにあります。その一方で、そうした政策・事業は民族優遇政策として利用されてしまいやすいという特徴も持っています。一般的に、民族優遇は政府の説明責任と正当性の欠如によって引き起され、経済成長を阻害する要因の一つとして考えられています。 サブサハラ・アフリカにおいて、道路での輸送は国内輸送の根幹であるにもかかわらず、道路建設費の中抜きは頻繁に起きていると言われており、舗装道路の質が大きな開発支援問題として認識されています。例えば、質の悪い道路は1年ほどで壊れてしまい、雨季には通行不能になります。しかし、そうした地域における道路の質に関するデータが決定的に不足しているため、舗装道路の壊れている理由が民族優遇の結果なのか否か十分に議論できていません。同様に、道路が壊れることで地域の経済成長がどの程度阻害されているのかという点に関しても十分な研究が行われていません。 本研究室では、道路の質の情報の入手や作成を通して、道路の質と経済活動・経済発展に関する研究を行います。
経済発展と環境保全はトレードオフの関係にあります。工業化する途上国はもちろんのこと、急速なモータリゼーション・電力の自由化(火力発電所の増加)等による大気環境の悪化は日本においても重要な論点です。大気環境は一般に公共財であり法的な規制なしに良好な状態を維持することは容易ではありません。そもそも大気環境の悪化(or 改善)が人々の生活にどのような影響を与えるのかについては、古くから多くの研究がなされているものの、信頼性の高い証拠はほとんどありませんでした。しかし近年になり分析手法が発展したことで、この問題に関する研究が再び盛んに行われるようになっています。 本研究室では、大気環境が人々の健康に与える影響や大気環境の経済的価値について研究を行います。
交通インフラの整備は、経済成長の促進・経済不確実性の減少・地球温暖化問題や自然災害の一次被害や二次被害の緩和など、世界の開発課題を解決する政策の一つとして認識されています。世界銀行においても交通インフラの整備は最重要課題の一つに位置付けられており、2013年から2017年までの世界銀行の貸出総額のうち15.2%が交通インフラ分野に対するものとなっています。これは教育分野と健康分野に対する貸出の合計(13.8%)よりも多い金額です。確かに交通インフラの整備による交易コストの低下が市場統合を促すことは国際貿易の理論からに容易に予想できますが、貿易コストの低下にともなう市場統合の利益の計測に関する 統計的因果推論に基づいた実証的な証拠は意外にも多くはありません。
本研究室では、明治期の急速な鉄道建設が市場統合を通じて様々な開発課題に対し、どのような影響を与えたのかについて研究を行います。